ホライゾンブルーの夏が来る

劇場で観るきらめきと夢のはなし

君が思い出になる前に―テニミュ全氷を終えて

全氷公演が終わってしまった。

もう一週間前のことだ。時が経つのはあっという間だ。

本当はブログに書くつもりなんてなかったけれど、軽い気持ちで過去公演を見たらさみしさがぶり返してしまったので、ここに今の率直な気持ちを書き残すことで、私の夏を終わりにしようと思う。

 

 

私が初めて観劇したテニミュが3rdシーズンの関東氷帝公演だった。あの夏のはじまり、初めて観たテニミュCMの三浦くんに衝撃を受け、わけもわからずチケットをとり、がむしゃらに観劇した。青学がただただかっこよくて、氷帝が必死に立ち向かう敵みたいに見えた。

でも凱旋でまた日を開けて観たときに、氷帝がものすごく成長して、すごくいいチームなのかもしれないと思ったときに、私はこの学校をもっと観たい、応援したいと思った。

そこから私のテニミュがはじまった。

 

 

全国大会。正直初日はなんだかつまらないと思った。構成と楽曲に面白みを感じられなくて、初日の帰りはもう残りのチケットを手放そうかと思ったほどだ。好きな学校の公演のはずなのに、なぜこれほど面白く思えないのかと考えたけれど、良い答えは得られなかった。

悩みながら東京公演を見ていくうちに、だんだん慣れてきて、ここからの変化と成長を楽しみにしようと決めて観た。そうしたら案外面白くなってきて、どんどん青学と氷帝の物理的な実力差が縮まってきた。まるであの夏の逆転を見ているみたいになって。

凱旋公演は本当に楽しかった。前楽でとちりまくったときはどうなるかと思ったけれど大楽は最高の演技が観られて最高の気分で終われた。

 

ここからは、今回の公演を終えての9人の感想です。長ったらしいポエムみたくなってしまったのはご容赦ください。

 

三浦くん。

関東で初めて君の跡部を見た日のことを私は忘れない。うつくしくて、きらきら輝くプリズムみたいな跡部だと思った。見るたびに成長して板の上に帰ってきてくれるのがうれしくて、どんどん成長していく姿が頼もしくて。全国大会、日に日に増していくタイブレークの熱量に、大楽はどこかへ君が行ってしまうのではないかと怖かったけれど、気絶してなお君臨する姿に、自然と拍手をしていた。跡部でいてくれてありがとう。

 

いくみん。

ものすごく、熱く、男くさい演技をするようになった。正直東京のあたりはこりゃS3…熱量が…ない…と思ったものだが、みちがえるようによくなっていって驚いた。声の高さにコンプレックスがあるのかも、と思った時期があったけれど、そんなことは杞憂だと思わせるくらいにすごく良い忍足だった。熱量でのカバーが後半特によかったなあ。岳人とまたダブルスしたいって言ってくれてありがとう。それを口にしてくれただけで泣きそうになる。ありがとう。

 

やまさん。

やまさんの美声が堪能できるのが『氷の刃』の「ボクサーよりも鍛え抜かれた二の腕」とタイブレークの「ウス~~~」だけだったのがめちゃくちゃ勿体ない。関東の頃から氷帝の低音部を、歌唱全体を支えてくれていたのはやまさんだったし、『跡部のアリア』の歌い出しもやまさんの歌唱力があってこそ実現したパートだったから。もっとこれから歌の仕事がいっぱい来てほしい…私は応援しています…。

 

しゅんくん。

とにかくひとりだけ演技の熱量がすごい。試合に自分たちの生死がかかっているのではと思わせるくらい熱くて、厳しくて、そして誰より後輩思いの宍戸だった。あおとくんがここまで熱い演技ができたのもしゅんくんの力があったからなのかもしれない。大楽がめちゃくちゃ熱くて、あの最高の演技が円盤に残り世に流通することが私はとにかくうれしい。あと、演技だけじゃなくて音程が乱れにくくなってたのもぐっじょぶでした。ハーモニーになると乱れてしまうときがあったので…。最高を更新し続ける氷帝D1が大好きでした。

 

あおとくん。

やばい。あらゆる弱点を克服してこの公演に臨んでいるんだな…ということをひしひしと感じさせられたキャスト。声方面の課題があらかた解決してしまっている。努力の力はすごい。この一年強どれだけ努力したのか。滑舌もセリフ回しも全てが完璧に近い。すごすぎる。凱旋にかけて『誰にも見えない糸』の声量がぐんぐん上がってて、しかも音程も外さない。最高の鳳になって帰ってきてくれた。素晴らしい試合だった。

 

さっくん

さっくんの努力がどんどん浮き出るように後半目立ってきていて、ほんとすごいと思った。ガサガサっていじられていた声が歌もセリフもきれいになって、アクロバットも軽々こなすようになった。前半噛みがちだったセリフもよどみなく言って、さらにベンチワークもバリエーションがたくさんあって。試合もベンチもキャラを忘れずにこなす。『氷の刃』の日吉とのパート「その目に宿る」の歌い方がめちゃくちゃ好きでした。また忍足とダブルス組んでね。

 

あっきー。

D2もそうだし他のみんなにも言えることだけれどどんどん歌がうまくなる。意外とさっくんとの声の相性がいい。関東の頃からすごくいい日吉だと思っていました。穴のない俳優になっていくのかな。しいて言うならちょっとゲラっぽいところがかわいいよね…。あっきーはテニミュの間に別の作品でも観たんですがぐいぐいうまくなってて、いろんな現場で吸収したことをこの公演に持ってきて、そしてそれをきちんと活かしているなって思いました。

 

田村くん。

日替わりのクオリティがとにかく高かった。どいてろジローのバリエーションの豊富さ。若干メタ回があったのはひやひやしましたが、キャラを守ってあれだけのパフォーマンスをしたのはすごかったなあ。大楽はシンプルだけど泣けました。あそこで『Season』持ってくるのはずるいですよね。ベンチワークも見どころ盛りだくさんで目が離せませんでした。あとこれは初日の感想なんですが第一声とあくびの声をアニメのうえだゆうじさんにめちゃくちゃ寄せてませんでした!? 私の記憶違いですかね。初日にうわ!ジローだ!と思いました。

 

しょうごくん。

彼も日替わりが大変でしたね。毎回面白くて、あの雰囲気の中笑いに振りきれたシーンをやらなければならないのは非常にプレッシャーのかかることだろうに。毎回笑いました。スピードガンを構える仕草ひとつにしても、非常に細部まで緻密に計算し尽くされていると思います。美しい。歌声もすごくうまくなっていて驚きました。原作に情報が少ないだろうに、あれだけのキャラを演じてくれて、そして私はしょうごくんの滝さんを見て滝さんのことが好きになりました。ありがとう、キャラの魅力を気付かせてくれて。

 

 

 

うれしかった。9人で戻ってきてくれて。

六角の大楽で「俺たちは誰一人欠けても氷帝ではない。必ず9人で戻ってくる」という約束を跡部がしてくれたこと、それを守ってくれたこと、また9人で全力で上を見続けて走ってくれたこと。とにかくそれがうれしかった。

正直なところ、ここしばらくのテニミュ立海にうつつを抜かしておりまして、すっかり夢中になって公演を追っていたのですが、いつも心のどこかにはこの夏がどうなるかということが残り続けていて、頭の片隅にいつも彼らがいました。

だから全員揃う本公演が最後だとわかっていた大楽は、めちゃくちゃ泣くのではないかと覚悟して行ったのですが、終わってみると不思議と涙は出ませんでした。やり切ったというふうにからっと部長挨拶で笑う三浦くんとメンバーを見ていると、悔いなく終わることができたのだなあと、心がすっと軽くなりました。もしかするとそれは私の心が実はもう氷帝に向いていなかっただけなのかもしれないし、どうせまたドリライに出るんだしと冷静に見つめてしまっていただけなのかもしれません。

けれど、あの瞬間に彼らを見ていた私はすがすがしい気持ちでいっぱいでした。

関東、はじめてのテニミュで彼らを好きになって、六角、チームライブ、ドリームライブ、そして全国とまるっと2年、走ってきました。

あの夏とこの夏がつながっていると思ったことがひとつありました。大楽のコールが跡部だったのですが、ひとしきりコールを観客に煽ったのち、「聞こえねえな」と笑い、横にいた宍戸が「聞こえてるだろ」とでもいう風に軽く往なしていたのですが、これは関東氷帝の大楽のコールでも同じやりとりをしていました。それを見たとき、ああ夏が終わる、私の夏はこうして終わるんだと思いました。

 

ほかの学校も大好きです。8代目も、9代目も、六角も、立海も、比嘉も、現青学も、みんな大好きです。テニミュが大好きです。

けれど、私の夏の原点である彼らの終わりに際して、このような文を書くことをお許しください。

めちゃくちゃ通ったといえるほど劇場に足を運んだとは言えません。私よりたくさん観た方のほうがよっぽど思い入れもあれば、違った角度で公演が見れていると思います。何を偉ぶったことを、と思われたとしても、これが私の率直な気持ちです。うれしかったこともいやだったことも正直許せなかったこともありました。それでも今彼らに伝えられることがあるとするなら「ありがとう、大好きでした」です。

 

 

最後に。

関東氷帝楽日前日、2016年9月24日ソワレ。

忘れもしない、あれは山吹100回公演の回でした。

どうしても、この日の抽選券を捨てることができなかった。

この日の夜公演は私にとって現地で彼らを見られる最後の日で、どうしても観たくて譲渡をずっとさがして当日券も並んだけれど外れてしまって。テニミュ初心者だった私は本当にどうしたらいいかわからず、雨の降る水道橋で半ば泣きそうになりながらひたすらに譲渡ツイに声をかけまくったのを覚えている。最後は縁があって観ることができたけれど、開演5分前くらいのぎりぎりで手に入ったチケットだった。

座席は1バル下手。初めて座る1バルに、これまでとは全く違う景色が広がる公演に感動した。ブーメランスネイクのライトが客席を旋回する眩しさ、ベストテンションのリョーマの輝き、卒バラを歌う8代目を観てああこれが最後なのかと思ったらひどく泣けた。まるで彼らの試合を本当に見ているかのような、そんな気がして。凱旋公演ってこんなに変わっててこんなにすごいんだと思った公演だった。

それが9月24日。

そして、全国氷帝公演の大千秋楽の日付が、2年後のその日。しかもあの日の座席とほぼ同じ席だった。

あの日に見た景色と同じくらい綺麗で、それ以上にみんなの笑顔がきらきらしていた。

 

最高の夏をありがとう。

また会える日まで。