ホライゾンブルーの夏が来る

劇場で観るきらめきと夢のはなし

2017年版RENT雑感ーRENTにまつわる話

とりあえず、まずブログの練習として観劇の記録をざっくりしてみようと思い立った。

 

何について書こうかと迷ったけど直近で見たのが「RENT」2017年版だったのでそのことについて少し、何回かに分けて書こうかな…なんて思っていたんだけど気付いたらただの好き語りになってしまったことについてはご容赦願いたい。

 

ちゃんとした演目の感想はまた気が向いたら書くとして、今回は自分がRENTを観たいと思ったきっかけと、実際に観て自分の感じたことをちょっと書いてみようと思います。

 

観劇を趣味にするようになったのはつい最近のことだからRENTは今回が初見だけど、2年前にもやっていたことは知っていた。ちょうどミュージカル諸々が気になりだしていた時期で、おけぴなんかで公演レポートや稽古場レポートを後から読んだり、YouTubeに公開されている制作発表やPVを延々と見たりしていた。あの頃は出演者は全然知らなかった。

 

それから半年くらいして、またRENTについて興味が出た。きっかけは15年版から引き続いて出演しているマーク役の村井さんだった。2016年春前くらいに「舞台 弱虫ペダル」と「戦国鍋TV」のDVDを偶然レンタルビデオ店で見つけた。名前は前々から聞いていたし、なんか面白そうだと思って借りてみたところ、そこでドハマりしてしまった。「弱虫ペダル」は初演の方を見たんだけれど、もう信じられないくらい面白くて、一回見終わったあとすぐもう一回再生した。照明の使い方とか、演出とか、全力の舞台とか、そういうのもそうなんだけど、誰より冴えない役のはずなのにピンスポを浴びながら坂道を駆け上る小野田・村井さんがきらきら輝いてて。

 

これはRENTにも通じることなのかもしれないけど、「誰よりもふつう」なのに輝いているのが不思議であり魅力でもあるんだろうなと思うんだ。

戦国鍋TV」に関しては一気にだだだっと借りて結局シーズン2の方も含めて全部見ちゃった。私は「ミュージック・トゥナイト」のコーナーがめちゃくちゃ好きで、チープだけどちゃんと歴史事項をそれなりに抑えているところがツボだった。村井さんの演じているやつだと天正遣欧少年使節AKR四十七が好きかな。キャラ構成がしっかりしているところとパフォーマンスのポテンシャルが地味に高いところが良かった。

そんなこんなで村井さんが気になりだして、主演映画の舞台挨拶に行ってみたりいろいろしたんだけど、どうしても心残りというかずっと頭の片隅に浮かんでいたことがあって。

 

それが「村井さんのマークが見たい」ということだった。

 

歴代RENTはだいたい二年周期くらいで再演されてて、まあ順当にいけば次は2017かななんて思ってたところに再演の知らせ!やった!2017年夏!これで夢が叶うかと思いきやいろいろ調べてみたら「マーク役の続投は例がない」なんて出てきて頭が真っ白になりました。どうひっくり返っても過去には戻れない、懺悔しても時は戻せないわけだから今更2015年のことを言ってもしょうがないけれど、もしできることならもう一度村井さんのマークが見てみたいと思った。

 

それから半年くらい経って、2017年版RENTのキャストが発表された。

 

マーク役のところに、村井さんの名前があって、信じられないくらいうれしかった。

とりあえずダブルキャストは全員見られるようにスケジュールを組もう、とTICKET&SCHEDULEのところとにらめっこしながら悩んでチケットを取った。

 

ただ正直な話、村井さんのミュージカルってどうなのかなって不安もあった。余計なお世話だって話ではあるんですけど。私が初めて村井さんのお芝居を劇場で観たのが2016年夏の「アイワズライト」って作品なんだけど、これで盲目の少年(青年?)を村井さんは演じていて、これが本当に作品としても演技としても素晴らしいものだったんですよ。今でもたまに思い出して苦しくなる。そしてそれと同時になんて素敵な役者なんだろうって。だから、お芝居は好きだけど歌う村井さんは果たしてどんなものなんだろうっていう期待と不安が半々。いろいろ感想とか見ると「良いところを探して聞くのがつらい」って意見もあったり…。

 

私自身、今年の春に「きみはいい人、チャーリーブラウン」を観劇しました。これがはじめての歌う村井さんだったわけだけど、「これは私の見たい村井さんの100%じゃないな」っていうのが正直な感想だった。すごい楽しくて心に染みわたるようなハッピーミュージカルだったのは確かなんだけど、歌の部分があるとお芝居が半減してしまうからどうしても不完全燃焼気味になってしまって。発表されてくお仕事もミュージカルがほとんどだし。今はお仕事のバランス的にミュージカルに積極的に挑戦して行こうっているのはもちろんわかるんだけど、どうしても寂しさというか、たまにはストレートプレイも見たいなって気持ちがあって。こんないちファンがいくら言ってもしょうがないことだってのは分かってるんだけどもね。

 

だから正直なところ、RENTも期待半分不安半分くらいの気持ちでいました。

RENTはBrodway版のDVDを見たのと、あとはCDをちょっと聞いたりしてなんとなくの流れは掴んだかなっていう感じで観劇日当日を迎えました。

 

その日はRENTの東京公演、そして2017年版RENTの初日だった。私にとっても初めてのRENT。打ちっぱなしのような鉄で組まれたセット、バンドがその上段にいた。決して大きくない舞台に所狭しと詰め込まれた舞台装置に、すごく小さな世界なんだなと思った。たぶん定時より少し遅れて開演した。幕開きを今か今かと待ち望む客席のじりじりとした緊張感は今でも思い出せる。

 

そうしてRENTの幕が開いた。

 

‘December 24th...’

 

このマークの第一声にぐわっと心をつかまれた。なんだろうこのわくわくする感じ。続けての最初のナンバー『RENT』、これがイントロから心臓をわしづかみにされたような興奮に襲われて、終わった後の客席の歓声にも度肝を抜かれた。声を出していいんだっていうのがめちゃくちゃ新鮮。座席の関係か歌詞を聞き取りづらくて『Today 4 U』とかあんまりわからなかったんだけど、話の展開がわかりづらいとかそういうのはなかったです。とにかくキャストも客も熱気がすごかった!初日どころか千秋楽なんじゃないかっていうくらい。‘NO DAY BUT TODAY’っていうメッセージがすごくすごく染みた。全体的にライヴ感があって楽しかった。90年代のロック(ポップス)ミュージカルってこういう感じね!と納得した。

 

村井マークの話。4月にYGCBで見たときより歌唱力が上がっていたのは間違いなかった。声が太く安定するようになってて、うまくなってた。それは間違いない。でも不思議なことに、ほとんどが歌で構成されているミュージカルのはずなのに芝居部分の不完全燃焼感がまったくなかった、それどころか「私が見たかったのはこれだ!」と一曲目にして直感的に感じた。なぜなのかはよくわからない。このミュージカルの特性がそうさせるのだろうか。「当たり役」ってこういうことを言うのかな、なんて思ったり。

 

去年暮れあたりに来日版のプロモーションで村井さんがコメントを寄せていたとき、繰り返し繰り返し「人生が変わるミュージカルだ」といっていたのを思い出した。それはもちろん見た人次第だろうななんて思っていたけど、これは出演する側にとってもたぶんそうなんだろうなってふと感じた。これに出演しなかったら村井さんの仕事の方針ももしかしたら違っていたかもしれないだろうし、このマークという役を演じなかったら私がこの作品に触れることもなかったかもしれない。

 

あんまりうまくまとまらなくなってきました。

 

初日終えて帰るときに、「明日からとは言わず、今日から一生懸命生きなきゃね」なんて友人と話した。この作品の中で描かれる感情はマイナスなものが多いかもしれないけれど、見終わった後前向きに歩みを進められる作品はとても良いものだなと思いました。楽曲も素敵なものばかりで、この作品にきちんと触れることができたことをうれしく思う。そして、村井さんのミュージカルを、表現をもっと見たいと思えたことも。

 

この作品に流れるテーマは「エイズ」「仲間の死」を通して描かれる「愛」と「生きること」についてだと感じた。これは単純そうに見えてすごく難しいと私は思っていて、普段私はごく当たり前に、自分の存在に疑問を感じることも、こういうテーマに触れることもなく生きている。この作品を見た後もそれがどういうことなのかはよくわかっていない。もしかしたら将来的に心のそこから愛すことを知ったり、死に直面することになったらこのテーマで描かれていることがわかるようになるのかもしれない。そのときにきっとこの作品の重さやメッセージがきちんと理解できるのだと私は信じている。

 

初回の感想はこんなところで締めたいと思います。

 

気が向いたら、キャストのことなんかについても書くかもしれない。

 

それでは。