ホライゾンブルーの夏が来る

劇場で観るきらめきと夢のはなし

スターダムへの声を聞いたか―TWiN PARADOX ワンマンLIVE Vol.5「DISCOVER」

「この双子が熱い!2018」というアワードがあったのなら、間違いなくナンバーワンを取れる双子だと言える。熱さとエモさ、キラキラをこれでもかと詰め込んだくらいまぶしくて、夢に向かって突っ走る最高のコンテンツだ。もっともそんなアワードもなければ私はこのライブが初見のにわかオタクだ。そんなことはどうでもいい。とにかくこの双子は熱い。

この文章を通して私が言いたいことは、

悪いことは言わないから早くこの双子にハマれ! 

ただそれだけだ。

 

 

私が全力をもってお勧めする双子、それが「TWiN PARADOX」である。

 

これで検索をかけると小難しいアインシュタインの理論が検索に引っかかるが、そっちではない。

 

ざっくりと説明をすると、大阪出身の(顔のいい)双子の二葉勇(兄)と二葉要(弟)がツインボーカルを務めるユニットである。二人は「劇団番町ボーイズ☆*1」という劇団所属の俳優で舞台で活動しながらユニットでの音楽活動も行っている。

 

 

今回は、9月16日に行われたTWiN PARADOX ワンマンライブVol.5「DISCOVER」にふらっとノリで行って彼らの印象をひっくり返された話をします。

 

 

仰々しく記事タイトルにライブ名なんぞを入れてしまったが全然まともな感想ではないし理性が働いていないので検索か何かからこの記事を見つけた方がいらっしゃったのなら、もう先に言っておく、ごめんなさい。

ふとライブから2週間経って振り返ってみて、あの日に自分の感じた衝撃と熱さをただただ書き残しておきたくてこの文章を書いている。今更っていう意見は受け付けてません。

 

軽く双子との出会いから。

もともとTWiN PARADOX(以下ツイパラ・略称です)自体に興味があったわけではなく、そもそもはテニミュで弟の要くんを知ったのがはじまり。そのときは歌がうまくて顔がいいガチ恋量産マシーンだな~くらいにしか認識していなかった。

その後興味本位で双子の生放送(SHOWROOMかその前の媒体のやつか忘れた)を時間が合えば見るようになった。これが面白い。軽妙な語り口で互いに突っ込む関西ノリの双子トークが面白くて癖になる。

ライブ行こうかな~ってふわっと思い始めたきっかけは今年の6月くらいにやったSHOWROOMを5時間ぶっ通しで生配信するっていうイベントだった。たまたま暇だったからとりあえず頭の方だけでも見ようかなとアプリを立ち上げたところ、気が付いたら5時間経っていた。怖いね。二人で料理するコーナーがやべえ面白かった。

放送中、生歌とギターで弾き語りをしてくれるコーナーが何度かあって、確かそのときはカバー曲を歌ってくれたと思うのだが、その歌声に惹きこまれた。

このユニットのいいところ。とにかく歌がうまい。そして声質がめちゃめちゃいいのと二人の声が合わさったときのハーモニーがめちゃめちゃ綺麗。相性が抜群。これにつきる。双子に生まれてくれてありがとう、二人で音楽活動してくれてありがとう。ある種の奇跡でしょ。

生歌からのライブの宣伝を何度も何度もしていたので、その商法にまんまと引っかかったわけだ。

その後迷いつつ、「絶対に来てほしい」とプロモーションする勇くんの言葉に背中を押され、8月中頃になってやっとチケットを取った。

 

で、ライブ当日。

ふらっと、どれどれどんなもんかいと見物してやろうか、なんて軽い気持ちで見に行った渋谷WWW。

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人が会場前にいっぱいいてびっくりした。

整理番号順に入場。私はBから始まる番号だったので真ん中のちょっと後ろ寄りくらいかな。

そもそもライブハウスにも慣れておらず、前のほうに行くのが怖かったので戸惑いつつ後ろのほうにスペースを確保。キャパは400かそこらだったと思う。会場がそれほど広くないのもあってか肉眼で全身見える。結構近い。

 

そして始まるライブ、

これがもう、めちゃくちゃ楽しかった。

 

ライブっていいね、生音っていいね。

ノリも何もわからず様子見ながらノってたんだけど、後半はもう声を張り上げて、拳を突き上げながら楽しんでいた。予習といえばYouTubeにあがっている公式動画をひととおり見たくらいでぜんぜん曲がわからないまま行った不届き者の私でも、はちゃめちゃ楽しかった。ブチ上がった。

セットリストも、ポップな曲から激しい曲、そして落ち着いた曲といったふうにセクションごとに流れができていて、非常に入り込みやすかった。タイプごとの曲の魅せ方をきちんと心得ているのがパフォーマンスを見て感じられる。

後から聞いたらツイパラの曲だけではなくかつて大阪で活動していたバンド時代の曲もセットリストに入っていたらしい。私がめちゃ好き…と思った曲はバンド時代の曲だった。インディーズサイトで聞けたけど生で聞いたほうが俄然好きだった。フル音源がほしい。

声をあげる、叫ぶ、クラップをする、腕を振り上げる、タオルを回す、これらのアクションを通して会場全部が一体になる感覚の楽しいこと気持ちがいいこと。しかも双子の煽りもうまい。もう流されるまま身を任せるままやれば全然いける。初心者でも楽しめる。

ふらっとひとりで行ったけど楽しかった。若俳現場なのでもっと殺伐としてると思ったけど普通だった。あとオタクが優しかった。

 

楽しかった、しか言葉がない。

 

どうしてこんなに楽しかったんだろうな、と今思えば、たぶん彼ら自体というよりは、彼らの音楽性と音楽に対する姿勢に惚れたんだなと思う。

 

音楽に関しては前述のとおり。CDも出てるしYouTubeにもあがってるから試しに聞いてみてほしいのだが、抜群の歌唱力はいうまでもない。それに結構いろいろな系統の曲がある。以前のライブではカバー曲をやったり、今回もバンド時代の曲をやったりしていたが、これから曲数が増えたら純正ツイパラだけの曲でワンマンライブなんかもあるかもしれない。今がチャンスだと思って帰って即刻チャンネルの曲を上から順番に聞いた。

youtu.be

 

 ↑最新シングルの表題曲です。

 

 

 

 

そしてもうひとつ、音楽に対する姿勢について。

後半のMCで、勇くんが「俺たちの目標をここで言わせてほしい。ばかげた夢だって笑われるかもしれないけど、いつかかならず俺たちはみんなを武道館に連れて行く!」って声高に宣言するのを聞いたとき、いろんな人に笑われてきたのかもしれないなあとか、口に出すのも勇気がいることだろうなあとか、そんなことがふっと頭を過り、生半可な気持ちでは言えないことを今ファンのいる目の前で語ってくれていることがただただ胸に響いて。*2

正直「俳優」って肩書きがついた人たちの音楽活動って、所詮片手間じゃないの、みたいに見ている部分が私の中には少なからずある。だからファンの方には申し訳ないけれどすごい軽い気持ちでこのライブに来たし、心のどこかで舐めてたのかもしれない、今思えば。

でもこのライブで、その全部がひっくり返されて自分の認識がぶち壊された。武道館に行きたい、今上に上がりたいんだっていう強い思いとエネルギーに「俺らは本気で音楽やってんだ!これが俺らの覚悟だ!」って平手打ちされた。

前述のとおり、彼らは大阪でインディーズバンドとして活動していた時期があり、現在のドラムの方は前身のバンド時代からの付き合いの方という話がMCの中であった。そこからもわかるように、もうすでに音楽活動をしているという経験値って確実に活きてくると思う。ツイパラとしての活動暦があるとはいえ、妙に場慣れしてるって感じたのはそれがあったのではないか。客に対する煽り方、盛り上げ方が慣れていて、彼らに身をゆだねていれば絶対大丈夫という安心感がものすごくあった。それって大事なことだし、すごく強みでもある。

MCの間、前の女の子がタオルを目に当てたまま号泣していて、応援しているひとたちにそんなこと言われたらうれしいよなあ、素敵だよなあ、なんてひとごとみたいに思ったけれど、「それまでついてきてくれ!」って何も飾らないストレートでまっすぐな言葉がまぶしくて、きらきらしていた。こんなファンでもいいのか、自分なんてファンと呼んでいいのかすらわからない状態だけれど、ぐっときて泣いてしまった。 

 

もう、一言で言うなら「最高」のライブだった。アンコールまでぎゅっとつまった最後までチョコたっぷりみたいなライブだった。ふわふわしたままその後物販で気付いたらCD予約をして流れで双子とハイタッチして帰りました。ハイタッチの記憶無い。でも楽しかった、もっと聞きたい。もっとライブに行きたい。

 

「俳優」という肩書きはこれからの活動の上でもしかしたら足枷になることもあるかもしれないけれど、若くてエネルギーがある彼らならそんなの瑣末なことだとはね飛ばして進んでいくんじゃないか。なんの根拠もないけれど、そう思った。そんなふうに思わせてくれる力が彼らにはある。

 これからどんどん大きくなっていくバンドだと確信した一夜でした。

 

 

こんなふうに、はまるのは一瞬の出来事で、熱さと衝撃にぶん殴られてあっという間に魅せられてしまった。頑張って応援しよう。

 

 

とにかくすごくよかったので、もしツイパラに興味があってこのブログにたどり着いた人がいて、もし1ミリでも興味が湧いたのなら、何かの縁だと思ってぜひ彼らのライブ活動を一度見てみてください。CDは配信で試聴もできる(iTunesやLINE MUSICなど配信あります)し、YouTubeにPVもあります(上に埋め込み済)。最近は番町ボーイズのチャンネルで双子がYouTubeに動画をあげたりしていてそちらも面白いのでぜひ。

 

現在9月26日発売のCDのリリースイベントをやっています(〜10/20)。

記事を書くのが遅かったからもう半分くらい終わっちゃったけど、まだ残ってるからよかったら騙されたと思って一度行ってみてください。無料でミニライブ観覧できます。とりあえず公式Twitterのリンクを貼っておきますね。

 

twitter.com

 

まだまだ駆け出しファンだけど次のライブも絶対行くと心に決めた。

 

行こうぜ!武道館!

 

*1:公式サイト:

劇団番町ボーイズ☆

*2:最近更新されたインタビューでも語っています。

第五回ゲストモデルはTWiNPARADOXの二葉勇さん of GOSOUTH

君が思い出になる前に―テニミュ全氷を終えて

全氷公演が終わってしまった。

もう一週間前のことだ。時が経つのはあっという間だ。

本当はブログに書くつもりなんてなかったけれど、軽い気持ちで過去公演を見たらさみしさがぶり返してしまったので、ここに今の率直な気持ちを書き残すことで、私の夏を終わりにしようと思う。

 

 

私が初めて観劇したテニミュが3rdシーズンの関東氷帝公演だった。あの夏のはじまり、初めて観たテニミュCMの三浦くんに衝撃を受け、わけもわからずチケットをとり、がむしゃらに観劇した。青学がただただかっこよくて、氷帝が必死に立ち向かう敵みたいに見えた。

でも凱旋でまた日を開けて観たときに、氷帝がものすごく成長して、すごくいいチームなのかもしれないと思ったときに、私はこの学校をもっと観たい、応援したいと思った。

そこから私のテニミュがはじまった。

 

 

全国大会。正直初日はなんだかつまらないと思った。構成と楽曲に面白みを感じられなくて、初日の帰りはもう残りのチケットを手放そうかと思ったほどだ。好きな学校の公演のはずなのに、なぜこれほど面白く思えないのかと考えたけれど、良い答えは得られなかった。

悩みながら東京公演を見ていくうちに、だんだん慣れてきて、ここからの変化と成長を楽しみにしようと決めて観た。そうしたら案外面白くなってきて、どんどん青学と氷帝の物理的な実力差が縮まってきた。まるであの夏の逆転を見ているみたいになって。

凱旋公演は本当に楽しかった。前楽でとちりまくったときはどうなるかと思ったけれど大楽は最高の演技が観られて最高の気分で終われた。

 

ここからは、今回の公演を終えての9人の感想です。長ったらしいポエムみたくなってしまったのはご容赦ください。

 

三浦くん。

関東で初めて君の跡部を見た日のことを私は忘れない。うつくしくて、きらきら輝くプリズムみたいな跡部だと思った。見るたびに成長して板の上に帰ってきてくれるのがうれしくて、どんどん成長していく姿が頼もしくて。全国大会、日に日に増していくタイブレークの熱量に、大楽はどこかへ君が行ってしまうのではないかと怖かったけれど、気絶してなお君臨する姿に、自然と拍手をしていた。跡部でいてくれてありがとう。

 

いくみん。

ものすごく、熱く、男くさい演技をするようになった。正直東京のあたりはこりゃS3…熱量が…ない…と思ったものだが、みちがえるようによくなっていって驚いた。声の高さにコンプレックスがあるのかも、と思った時期があったけれど、そんなことは杞憂だと思わせるくらいにすごく良い忍足だった。熱量でのカバーが後半特によかったなあ。岳人とまたダブルスしたいって言ってくれてありがとう。それを口にしてくれただけで泣きそうになる。ありがとう。

 

やまさん。

やまさんの美声が堪能できるのが『氷の刃』の「ボクサーよりも鍛え抜かれた二の腕」とタイブレークの「ウス~~~」だけだったのがめちゃくちゃ勿体ない。関東の頃から氷帝の低音部を、歌唱全体を支えてくれていたのはやまさんだったし、『跡部のアリア』の歌い出しもやまさんの歌唱力があってこそ実現したパートだったから。もっとこれから歌の仕事がいっぱい来てほしい…私は応援しています…。

 

しゅんくん。

とにかくひとりだけ演技の熱量がすごい。試合に自分たちの生死がかかっているのではと思わせるくらい熱くて、厳しくて、そして誰より後輩思いの宍戸だった。あおとくんがここまで熱い演技ができたのもしゅんくんの力があったからなのかもしれない。大楽がめちゃくちゃ熱くて、あの最高の演技が円盤に残り世に流通することが私はとにかくうれしい。あと、演技だけじゃなくて音程が乱れにくくなってたのもぐっじょぶでした。ハーモニーになると乱れてしまうときがあったので…。最高を更新し続ける氷帝D1が大好きでした。

 

あおとくん。

やばい。あらゆる弱点を克服してこの公演に臨んでいるんだな…ということをひしひしと感じさせられたキャスト。声方面の課題があらかた解決してしまっている。努力の力はすごい。この一年強どれだけ努力したのか。滑舌もセリフ回しも全てが完璧に近い。すごすぎる。凱旋にかけて『誰にも見えない糸』の声量がぐんぐん上がってて、しかも音程も外さない。最高の鳳になって帰ってきてくれた。素晴らしい試合だった。

 

さっくん

さっくんの努力がどんどん浮き出るように後半目立ってきていて、ほんとすごいと思った。ガサガサっていじられていた声が歌もセリフもきれいになって、アクロバットも軽々こなすようになった。前半噛みがちだったセリフもよどみなく言って、さらにベンチワークもバリエーションがたくさんあって。試合もベンチもキャラを忘れずにこなす。『氷の刃』の日吉とのパート「その目に宿る」の歌い方がめちゃくちゃ好きでした。また忍足とダブルス組んでね。

 

あっきー。

D2もそうだし他のみんなにも言えることだけれどどんどん歌がうまくなる。意外とさっくんとの声の相性がいい。関東の頃からすごくいい日吉だと思っていました。穴のない俳優になっていくのかな。しいて言うならちょっとゲラっぽいところがかわいいよね…。あっきーはテニミュの間に別の作品でも観たんですがぐいぐいうまくなってて、いろんな現場で吸収したことをこの公演に持ってきて、そしてそれをきちんと活かしているなって思いました。

 

田村くん。

日替わりのクオリティがとにかく高かった。どいてろジローのバリエーションの豊富さ。若干メタ回があったのはひやひやしましたが、キャラを守ってあれだけのパフォーマンスをしたのはすごかったなあ。大楽はシンプルだけど泣けました。あそこで『Season』持ってくるのはずるいですよね。ベンチワークも見どころ盛りだくさんで目が離せませんでした。あとこれは初日の感想なんですが第一声とあくびの声をアニメのうえだゆうじさんにめちゃくちゃ寄せてませんでした!? 私の記憶違いですかね。初日にうわ!ジローだ!と思いました。

 

しょうごくん。

彼も日替わりが大変でしたね。毎回面白くて、あの雰囲気の中笑いに振りきれたシーンをやらなければならないのは非常にプレッシャーのかかることだろうに。毎回笑いました。スピードガンを構える仕草ひとつにしても、非常に細部まで緻密に計算し尽くされていると思います。美しい。歌声もすごくうまくなっていて驚きました。原作に情報が少ないだろうに、あれだけのキャラを演じてくれて、そして私はしょうごくんの滝さんを見て滝さんのことが好きになりました。ありがとう、キャラの魅力を気付かせてくれて。

 

 

 

うれしかった。9人で戻ってきてくれて。

六角の大楽で「俺たちは誰一人欠けても氷帝ではない。必ず9人で戻ってくる」という約束を跡部がしてくれたこと、それを守ってくれたこと、また9人で全力で上を見続けて走ってくれたこと。とにかくそれがうれしかった。

正直なところ、ここしばらくのテニミュ立海にうつつを抜かしておりまして、すっかり夢中になって公演を追っていたのですが、いつも心のどこかにはこの夏がどうなるかということが残り続けていて、頭の片隅にいつも彼らがいました。

だから全員揃う本公演が最後だとわかっていた大楽は、めちゃくちゃ泣くのではないかと覚悟して行ったのですが、終わってみると不思議と涙は出ませんでした。やり切ったというふうにからっと部長挨拶で笑う三浦くんとメンバーを見ていると、悔いなく終わることができたのだなあと、心がすっと軽くなりました。もしかするとそれは私の心が実はもう氷帝に向いていなかっただけなのかもしれないし、どうせまたドリライに出るんだしと冷静に見つめてしまっていただけなのかもしれません。

けれど、あの瞬間に彼らを見ていた私はすがすがしい気持ちでいっぱいでした。

関東、はじめてのテニミュで彼らを好きになって、六角、チームライブ、ドリームライブ、そして全国とまるっと2年、走ってきました。

あの夏とこの夏がつながっていると思ったことがひとつありました。大楽のコールが跡部だったのですが、ひとしきりコールを観客に煽ったのち、「聞こえねえな」と笑い、横にいた宍戸が「聞こえてるだろ」とでもいう風に軽く往なしていたのですが、これは関東氷帝の大楽のコールでも同じやりとりをしていました。それを見たとき、ああ夏が終わる、私の夏はこうして終わるんだと思いました。

 

ほかの学校も大好きです。8代目も、9代目も、六角も、立海も、比嘉も、現青学も、みんな大好きです。テニミュが大好きです。

けれど、私の夏の原点である彼らの終わりに際して、このような文を書くことをお許しください。

めちゃくちゃ通ったといえるほど劇場に足を運んだとは言えません。私よりたくさん観た方のほうがよっぽど思い入れもあれば、違った角度で公演が見れていると思います。何を偉ぶったことを、と思われたとしても、これが私の率直な気持ちです。うれしかったこともいやだったことも正直許せなかったこともありました。それでも今彼らに伝えられることがあるとするなら「ありがとう、大好きでした」です。

 

 

最後に。

関東氷帝楽日前日、2016年9月24日ソワレ。

忘れもしない、あれは山吹100回公演の回でした。

どうしても、この日の抽選券を捨てることができなかった。

この日の夜公演は私にとって現地で彼らを見られる最後の日で、どうしても観たくて譲渡をずっとさがして当日券も並んだけれど外れてしまって。テニミュ初心者だった私は本当にどうしたらいいかわからず、雨の降る水道橋で半ば泣きそうになりながらひたすらに譲渡ツイに声をかけまくったのを覚えている。最後は縁があって観ることができたけれど、開演5分前くらいのぎりぎりで手に入ったチケットだった。

座席は1バル下手。初めて座る1バルに、これまでとは全く違う景色が広がる公演に感動した。ブーメランスネイクのライトが客席を旋回する眩しさ、ベストテンションのリョーマの輝き、卒バラを歌う8代目を観てああこれが最後なのかと思ったらひどく泣けた。まるで彼らの試合を本当に見ているかのような、そんな気がして。凱旋公演ってこんなに変わっててこんなにすごいんだと思った公演だった。

それが9月24日。

そして、全国氷帝公演の大千秋楽の日付が、2年後のその日。しかもあの日の座席とほぼ同じ席だった。

あの日に見た景色と同じくらい綺麗で、それ以上にみんなの笑顔がきらきらしていた。

 

最高の夏をありがとう。

また会える日まで。

「二人の男」と「一人の男」の物語―ミュージカル「マタ・ハリ」雑感

 どうも、ご無沙汰しております。

 

 気付けば前回の記事から半年以上経っていました。私自身、このブログの存在をとうに忘れていまして。途中何回か記事を書こうと画面を開いたはいいものの結局完成には至らず、その残骸は今も下書きに眠っています。そのうち何らかの形で供養したい。

 

 もう2018年も始まりまして。ここ最近は年末年始またいでメルパルクで比嘉の子にはしゃいだり豊洲の回る城に行ったりひかりふったり人生初のお茶会に行ったりそれなりに過ごしておりました。元気です。ここらへんのことも気が向いたら書きます(書かないフラグ)。

 

 まあそんな中、2月頭に、タイトルにもありますミュージカル「マタ・ハリ」を観まして。ネタバレ含む感想は良くないかなつぶやこうかなどうしようかなと迷っているうちに大千秋楽が終わり、完全につぶやく時期を見失ったと。でも自分の中で感じたことはどこかにきちんとした形で残しておいた方が後々にも良いんじゃないかと思って、今回久しぶりにここに来ました。言っても半年ぶり2回目なので殆ど初回みたいなものですけどね!

 

 本題に入ります前に前置きしておきますが、タイトルにもあるとおり雑感なのでまとまったきれいな感想ではありません。ネタバレ含みます。それと、ファンの方が見たら不快に思うようなこともあるかもしれませんのでもし読まれている方がいらっしゃいましたら自己責任でお願いします。

 

 

 

 はい。そんな感じで本題です。

 なぜこの作品を観ようかと思ったかというと、シンプルに、今回2役をされている加藤和樹さんが観たかったから。それ以外の理由はないです。同じ演目内で日替わりで違う役をやるっていうと、2013年「ロミオ&ジュリエット」でロミオ役とティボルト役をされていた城田優さんくらいしか私は存じ上げないのですが、今回その役替わりありきで加藤さんがキャスティングされたと聞いて、それならば2役観なければならないなと思い、当初一度のみの予定を増やし、加藤東、加藤佐藤の順で観ました。加藤さんは出演作品が毎回好みと合っているのもあって『1789』からほぼ毎回舞台作品は観ている(はず)程度の軽めのファンです。あとラドゥーWの佐藤さんはエリザベートで観ました。柚希さんと東くんは今回が初めて。メインのキャストについてはそんな感じ。

 

 パンフレットのインタビューで柚希さんが「マタはこれまでの自分をまるごと愛して引き受けてくれる相手と出会って本当の愛を知って死んでいく」といったような内容を述べておられましたが、私はそういった恋愛面よりもマタの強さと懸命に生きる姿というのがとにかく鮮烈に印象に残った。

 特に顕著なのがラストシーンかな。強く歌い上げる絶唱と、それをぶつりと途切れさせるように放たれる銃声。ほんとうに鮮やかに、劇的に幕が下ろされる。フランス革命ものの見すぎかもしれないけれど、処刑場に向かう人々って大体白い質素でみすぼらしい服を着て最期の時を迎えるじゃないですか。マリーアントワネットなんかはむしろそれが栄華を極めた頃と対照的になっていたりして。

 でもマタの場合は、いつもと変わらない舞台衣装で最期のステージに向かう。あのシーンがとにかく衝撃的で、終わった後はしばらくこのシーンのことを考えていた。

 

 

 感情の揺れ動きに関して私が恋愛よりも友情の方が熱く受け取ってしまうせいもあるかもしれないけれど、私はアルマンよりも最後のアンナとのやり取りの方がよほど泣けた。あの何度か繰り返されるアンナとのやり取りがずるい。

「今夜の客席はどう?」「大入り満員です」「批評家は?」「ヨーロッパ中の新聞が来てます」「素敵!」

 場面によって変わるもの、変わらないもの。彼女は最後まで「マタ・ハリ」として生きることを選んだのだなあと。アンナ役の和音さんがほんと…彼女薄幸美人系のお役(アン・ブーリンやファンテーヌ)をよく見るから猶更…ほんとうに素敵な女性で…幸せになってほしい…。

 

 キャスト発表の際、自分の中で「マタ・ハリ」というと『魔性の女=絶世の美女』というようなイメージが強く、韓国版のビジュアルも相まって正直に言うと柚希さんの持つイメージとは外れているような気がして首を傾げたのを覚えている。

 でもこのマタ・ハリは柚希さんで正解だったのだなと今なら言える。強くたくましく、それでいて美しい、自我をきちんと持った強い女性。

 誰の命令にも従わず自分を貫く生き方と強さというのが、石丸さんの描きたかったファム・ファタールだったのでは。

 柚希さんにあて書きしたのかもしれませんが、柚希さんの持つ性別に囚われないような強さは元男役というバックボーンを持つ彼女にし出せないものだろうし、マタの魅力を美貌ではなく運命に立ち向かい生き抜く「強さ」に全振りした石丸さんの演出はいいなと思います。だからこそ少女のように恋をするマルガレッタとのコントラストがはっきりするのかなとも。

 あのバキバキに鍛えられた肉体から繰り出されるしなやかな「寺院の踊り」を見ると納得。

 加えて、劇中何度も出てくる「彼女の瞳」「あなたの目」といったマタの「目」に魅せられるという表現。彼女の強い意志をあらわす瞳のその不思議な魅力に皆魅せられたのではないか。結局のところ、人を惑わす魔性の女は外見ではなくその生き方で魅せるということじゃないかと私は解釈しました。

 

 

 あとやっぱりこの作品は両方の役替わりで観た方が面白かった。特にラドゥーの違いが私は色濃く感じられました。以下ざっくり違い。

 

アルマン

 年齢的には加藤>東かな。とにかく東くんはでかい。見たままの感想でごめんなさい。屋上のシーンめちゃくちゃ手すり低そうで大変そうだなって思ってた。加藤さんはアンリ(『フランケンシュタイン』)やロビン(『レディ・べス』)などこのところ多い陽キャラ(しかし中に陰要素もある)という印象で、真新しいものはないものの引き出しがたくさんあるのだろうと思わせる役作り。ちなみに兵士にからまれてぼこぼこにされるシーンは加藤さんの方が痛そうというか、殴られ慣れてる(?)ように観えた。

 

ラドゥー

 個人的に悩み苦しむ男めちゃくちゃ好きなのでこっちの方がよく見てると思う。アルマンファンの方ごめんなさい。とにかく佐藤さんのラドゥーがかっこよすぎて第一声から鳥肌が立った。エリザの時と全然違うやん…えっ渋くていい男じゃん…。歌唱力では圧倒的に佐藤さんですね。高圧感や人生経験の深みというのは佐藤ラドゥーの方が色濃い。「二人の男」も佐藤加藤ペアの方が相乗効果でよりダイナミックな曲になっていた気がする。 対して加藤ラドゥーは悩み苦しみ葛藤し自分の心の中で揺れ動く演技がうまい

 ダークサイドのお役をされるのは初めて見るので新鮮味がある。高圧的な物言いは彼の持つ硬質な声質と合っている反面、場面によっては少し単調になるのが残念だったかも。こちらは年齢の印象は佐藤>加藤のように見えました。

佐藤ラドゥーはクールで冷静、大人の余裕のようなものを持ってマタに近付いているようで、だからこそ自身の心の軋みに深く迷う男なのかなと思いました。アフト等で既出でしたら教えていただきたいです。

 一つ言いたいんですけど、マタを誘惑するシーンの差がすごかったんですけどこれ初期からでしたか?佐藤ラドゥーはそっと腰の横あたりを撫でるのに対して加藤ラドゥー完全にマタの服の裾から手を入れて脚触ってましたよね!?ガウンをきっちり着てた佐藤さんと肩掛け+サスペンダー+着崩したシャツって…(詳しくは東くん撮影の写真を見てください)

 

 そのほかにも福井さん、百名さん、西川さんをはじめとする役者さん、そしてアンサンブルの皆さんも素敵でした。

 お名前は存じあげないのですが飛行場で女たちが歌う場面でピンクのコートを着て裏メロを歌ってらっしゃったアンサンブルの方、とても印象に残っていたのでここに書き残しておきます。

 

 

 

 最後に、この作品を見るきっかけになった加藤和樹さんの話をしてこの記事を締めたいと思います。

本編を見るまでは役替わりのすごさをいまいち理解し切れていなかったのですが、本編を見るとそのすごさが身に沁みます。すごい。すごいよ加藤さん。

自分の中で身近な役替わりというと宝塚なんかでもありますが、その場合役替わりは期間で区切られます。だから「今日はラドゥー、今日はアルマン」と日替わりで役の切り替えをすると聞いた時には本当に驚いたし、日によってはマチソワで役替わりがあるなんて恐ろしい。アフタートークで「シャワーを浴びて切り替えています」なんておっしゃっていたそうですが、それにしてもツイッターで「マチネはラドゥーでしたがこれからアルマンです♪」なんてさらっとつぶやいているのを見ると本当にすごいなと…。

 

 今作の中にはラドゥーとアルマンが互いの感情をぶつけ合う「二人の男」というナンバーがあります。マタをめぐり、立場や身分関係なく、ただそこにいる男としてのぶつかりが描かれます。私はこの物語は、マタという一人の女の物語を軸に展開しますが、そのなかに「二人の男」もまた対照的に描かれていると思っています。そんな対照的な「二人の男」の物語を演じる「一人の男」・加藤和樹がいることが、この作品の面白さであり、スパイスであり、キーであると思うのです。

 

 

 上にも書きましたが、加藤さんの役としてはアルマンは近年のミュージカルの中で演じることが多い属性の人物、反対にラドゥーは見慣れない色を持った人物という印象を受けました。これは想像に過ぎないことだけれど、どちらかだけだったら、加藤さんがこの作品に関わることはなかったのではないだろうか。いまこの時期に、どちらの役もこなすことができるイメージと実力を持つ人が彼しかいなかったから、この作品に選ばれたのかもしれないなと思ったり。

 一作品で二人の役者・加藤和樹を見られるわけですからファンとしてはお得感満載では?個人的にはラドゥーみたいな自分の立場に悩み苦しむ偉い人(ざっくりすぎるか)という悪属性の加藤さんが観てみたかったのでうれしかったです。話題性はもちろんですが、違った化学反応を起こすことができたのではないでしょうか。だからこれは加藤和樹という一人の男の物語でもある。

 

 また長くなってきましたね。

 

 まあそういうわけで、この記事のタイトルは思い切りました。作品自体、それほど刺さる作品ではありませんでしたが…役者の皆さんのパワーと力量が印象に残ったので、長々と雑感を書き連ねました。皆さんまた違う作品で巡り合いたい!唯一観る予定があるのが『1789』でして。初演で加藤さんいいなときっかけになりました思い出の(?)作品なので楽しみにしております。

 

 それではまた。

2017年版RENT雑感ーRENTにまつわる話

とりあえず、まずブログの練習として観劇の記録をざっくりしてみようと思い立った。

 

何について書こうかと迷ったけど直近で見たのが「RENT」2017年版だったのでそのことについて少し、何回かに分けて書こうかな…なんて思っていたんだけど気付いたらただの好き語りになってしまったことについてはご容赦願いたい。

 

ちゃんとした演目の感想はまた気が向いたら書くとして、今回は自分がRENTを観たいと思ったきっかけと、実際に観て自分の感じたことをちょっと書いてみようと思います。

 

観劇を趣味にするようになったのはつい最近のことだからRENTは今回が初見だけど、2年前にもやっていたことは知っていた。ちょうどミュージカル諸々が気になりだしていた時期で、おけぴなんかで公演レポートや稽古場レポートを後から読んだり、YouTubeに公開されている制作発表やPVを延々と見たりしていた。あの頃は出演者は全然知らなかった。

 

それから半年くらいして、またRENTについて興味が出た。きっかけは15年版から引き続いて出演しているマーク役の村井さんだった。2016年春前くらいに「舞台 弱虫ペダル」と「戦国鍋TV」のDVDを偶然レンタルビデオ店で見つけた。名前は前々から聞いていたし、なんか面白そうだと思って借りてみたところ、そこでドハマりしてしまった。「弱虫ペダル」は初演の方を見たんだけれど、もう信じられないくらい面白くて、一回見終わったあとすぐもう一回再生した。照明の使い方とか、演出とか、全力の舞台とか、そういうのもそうなんだけど、誰より冴えない役のはずなのにピンスポを浴びながら坂道を駆け上る小野田・村井さんがきらきら輝いてて。

 

これはRENTにも通じることなのかもしれないけど、「誰よりもふつう」なのに輝いているのが不思議であり魅力でもあるんだろうなと思うんだ。

戦国鍋TV」に関しては一気にだだだっと借りて結局シーズン2の方も含めて全部見ちゃった。私は「ミュージック・トゥナイト」のコーナーがめちゃくちゃ好きで、チープだけどちゃんと歴史事項をそれなりに抑えているところがツボだった。村井さんの演じているやつだと天正遣欧少年使節AKR四十七が好きかな。キャラ構成がしっかりしているところとパフォーマンスのポテンシャルが地味に高いところが良かった。

そんなこんなで村井さんが気になりだして、主演映画の舞台挨拶に行ってみたりいろいろしたんだけど、どうしても心残りというかずっと頭の片隅に浮かんでいたことがあって。

 

それが「村井さんのマークが見たい」ということだった。

 

歴代RENTはだいたい二年周期くらいで再演されてて、まあ順当にいけば次は2017かななんて思ってたところに再演の知らせ!やった!2017年夏!これで夢が叶うかと思いきやいろいろ調べてみたら「マーク役の続投は例がない」なんて出てきて頭が真っ白になりました。どうひっくり返っても過去には戻れない、懺悔しても時は戻せないわけだから今更2015年のことを言ってもしょうがないけれど、もしできることならもう一度村井さんのマークが見てみたいと思った。

 

それから半年くらい経って、2017年版RENTのキャストが発表された。

 

マーク役のところに、村井さんの名前があって、信じられないくらいうれしかった。

とりあえずダブルキャストは全員見られるようにスケジュールを組もう、とTICKET&SCHEDULEのところとにらめっこしながら悩んでチケットを取った。

 

ただ正直な話、村井さんのミュージカルってどうなのかなって不安もあった。余計なお世話だって話ではあるんですけど。私が初めて村井さんのお芝居を劇場で観たのが2016年夏の「アイワズライト」って作品なんだけど、これで盲目の少年(青年?)を村井さんは演じていて、これが本当に作品としても演技としても素晴らしいものだったんですよ。今でもたまに思い出して苦しくなる。そしてそれと同時になんて素敵な役者なんだろうって。だから、お芝居は好きだけど歌う村井さんは果たしてどんなものなんだろうっていう期待と不安が半々。いろいろ感想とか見ると「良いところを探して聞くのがつらい」って意見もあったり…。

 

私自身、今年の春に「きみはいい人、チャーリーブラウン」を観劇しました。これがはじめての歌う村井さんだったわけだけど、「これは私の見たい村井さんの100%じゃないな」っていうのが正直な感想だった。すごい楽しくて心に染みわたるようなハッピーミュージカルだったのは確かなんだけど、歌の部分があるとお芝居が半減してしまうからどうしても不完全燃焼気味になってしまって。発表されてくお仕事もミュージカルがほとんどだし。今はお仕事のバランス的にミュージカルに積極的に挑戦して行こうっているのはもちろんわかるんだけど、どうしても寂しさというか、たまにはストレートプレイも見たいなって気持ちがあって。こんないちファンがいくら言ってもしょうがないことだってのは分かってるんだけどもね。

 

だから正直なところ、RENTも期待半分不安半分くらいの気持ちでいました。

RENTはBrodway版のDVDを見たのと、あとはCDをちょっと聞いたりしてなんとなくの流れは掴んだかなっていう感じで観劇日当日を迎えました。

 

その日はRENTの東京公演、そして2017年版RENTの初日だった。私にとっても初めてのRENT。打ちっぱなしのような鉄で組まれたセット、バンドがその上段にいた。決して大きくない舞台に所狭しと詰め込まれた舞台装置に、すごく小さな世界なんだなと思った。たぶん定時より少し遅れて開演した。幕開きを今か今かと待ち望む客席のじりじりとした緊張感は今でも思い出せる。

 

そうしてRENTの幕が開いた。

 

‘December 24th...’

 

このマークの第一声にぐわっと心をつかまれた。なんだろうこのわくわくする感じ。続けての最初のナンバー『RENT』、これがイントロから心臓をわしづかみにされたような興奮に襲われて、終わった後の客席の歓声にも度肝を抜かれた。声を出していいんだっていうのがめちゃくちゃ新鮮。座席の関係か歌詞を聞き取りづらくて『Today 4 U』とかあんまりわからなかったんだけど、話の展開がわかりづらいとかそういうのはなかったです。とにかくキャストも客も熱気がすごかった!初日どころか千秋楽なんじゃないかっていうくらい。‘NO DAY BUT TODAY’っていうメッセージがすごくすごく染みた。全体的にライヴ感があって楽しかった。90年代のロック(ポップス)ミュージカルってこういう感じね!と納得した。

 

村井マークの話。4月にYGCBで見たときより歌唱力が上がっていたのは間違いなかった。声が太く安定するようになってて、うまくなってた。それは間違いない。でも不思議なことに、ほとんどが歌で構成されているミュージカルのはずなのに芝居部分の不完全燃焼感がまったくなかった、それどころか「私が見たかったのはこれだ!」と一曲目にして直感的に感じた。なぜなのかはよくわからない。このミュージカルの特性がそうさせるのだろうか。「当たり役」ってこういうことを言うのかな、なんて思ったり。

 

去年暮れあたりに来日版のプロモーションで村井さんがコメントを寄せていたとき、繰り返し繰り返し「人生が変わるミュージカルだ」といっていたのを思い出した。それはもちろん見た人次第だろうななんて思っていたけど、これは出演する側にとってもたぶんそうなんだろうなってふと感じた。これに出演しなかったら村井さんの仕事の方針ももしかしたら違っていたかもしれないだろうし、このマークという役を演じなかったら私がこの作品に触れることもなかったかもしれない。

 

あんまりうまくまとまらなくなってきました。

 

初日終えて帰るときに、「明日からとは言わず、今日から一生懸命生きなきゃね」なんて友人と話した。この作品の中で描かれる感情はマイナスなものが多いかもしれないけれど、見終わった後前向きに歩みを進められる作品はとても良いものだなと思いました。楽曲も素敵なものばかりで、この作品にきちんと触れることができたことをうれしく思う。そして、村井さんのミュージカルを、表現をもっと見たいと思えたことも。

 

この作品に流れるテーマは「エイズ」「仲間の死」を通して描かれる「愛」と「生きること」についてだと感じた。これは単純そうに見えてすごく難しいと私は思っていて、普段私はごく当たり前に、自分の存在に疑問を感じることも、こういうテーマに触れることもなく生きている。この作品を見た後もそれがどういうことなのかはよくわかっていない。もしかしたら将来的に心のそこから愛すことを知ったり、死に直面することになったらこのテーマで描かれていることがわかるようになるのかもしれない。そのときにきっとこの作品の重さやメッセージがきちんと理解できるのだと私は信じている。

 

初回の感想はこんなところで締めたいと思います。

 

気が向いたら、キャストのことなんかについても書くかもしれない。

 

それでは。